悲報


6月29日
午前十時を過ぎた頃 六十年以上お互いを名前で呼び合っていた幼なじみの訃報が届く 
原因は手術が出来ないほど進行した末期の胃癌で本人の強い意志と希望により闘病生活の様子や症状を地元や近郊に住んでいる友人達にもひたすら隠し続けていたという
季節の変わり目には何方ともなく必ず電話で連絡を取り合っていましたが昨年の夏以降は受話器の向こうに現れるのは何時も奥さんばかりで その対応は・・・
『散歩に出ています』
『町内会の打ち合わせに・・・』
『病院に薬をもらいに・・・』等と
何時も上手にはぐらかされ本人からの返信も無いので奥さん!どこか具合が悪くて入院しているんじゃないの?」と何気なく探りを入れてみたり 日を改めて「症状はドーだい?」「経過は順調かい?」等と会話の途中でさり気なく鎌をかけてみても返ってくる答えはいつも同じでした
悔しさと悲しさを飲み込んで慌ててバスに飛び乗り六時間・・・
『来てくれたのか!』そんな顔をして安らかに眠っていました。。。